こんにちは。カーレビューラボ、運営者の「uzura」です。
家族みんなでのお出かけに最適なミニバンとして大人気の新型ヴォクシーですが、購入前に口コミを調べていると「乗り心地が悪い」「硬い」といった気になるワードを目にすることがあります。特に小さなお子さんがいるご家庭では、せっかくの新車で子供が車酔いしてしまったらどうしようと不安になりますよね。
実は、この「硬い」と言われる乗り心地には、トヨタが意図した明確な理由と、意外なメリットが隠されています。決して「悪い=低品質」というわけではないのです。私自身も多くのミニバンに試乗してきましたが、新型ヴォクシーの足回りは好みが分かれる部分であると同時に、運転するお父さんお母さんにとっては非常に頼もしい味方でもあります。
この記事では、なぜ新型ヴォクシーの乗り心地が硬いと言われるのか、その構造的な理由を紐解きながら、酔いやすいお子さんのための具体的な対策や、購入前にチェックすべきポイントをプロの視点から分かりやすく解説します。
- 新型ヴォクシーの乗り心地が「悪い」と言われる具体的な場面と理由
- 車酔いの原因となる「揺れ」とボディ剛性の関係性について
- タイヤのインチダウンや空気圧調整などすぐにできる改善策
- 家族全員が納得して購入するために必要な試乗時のチェックポイント
新型ヴォクシーの乗り心地は悪いという口コミの真偽
まずは、ネットやSNSで囁かれている「乗り心地が悪い」という噂の真相について深掘りしていきましょう。結論から言うと、これは「悪化」したのではなく、車のキャラクターが「変化」したことによるギャップが原因です。

路面の突き上げを感じやすい場面
新型ヴォクシー(90系)で最も多くのユーザーが口にするのが、低速走行時の「ゴツゴツとした突き上げ感」です。特に街中を時速40km以下で流している時や、マンホールの段差、工事跡の継ぎ目を越えた瞬間に、これまでのミニバンにはなかったような硬さを感じることがあります。
これは、先代モデル(80系)までの「フワフワとした柔らかい乗り心地」に慣れている人ほど、違和感を強く感じるポイントです。「魔法の絨毯」のような乗り味を期待していると、路面の情報をダイレクトに伝えてくる新型の足回りに驚くかもしれません。しかし、この「情報の伝達」こそが、ドライバーにとっては「路面状況を把握しやすい」という安心感にも繋がっているのです。
18インチタイヤが与える影響
乗り心地の硬さに大きく影響しているのが、上位グレード(S-Z)に標準装備されている「18インチタイヤ(205/55R18)」の存在です。見た目は非常にスポーティでカッコいいのですが、タイヤのゴム部分(扁平率)が薄くなるため、路面からの衝撃を吸収するクッション性が物理的に低下しています。
一方で、下位グレード(S-G)に装着される16インチや17インチのタイヤでは、ゴムの厚みがある分、マイルドな乗り心地になります。「見た目のカッコよさ」を取るか、「家族の快適性」を取るか、グレード選びの段階で非常に悩ましいポイントと言えるでしょう。
【豆知識】タイヤの「扁平率」とは?
タイヤの側面(サイドウォール)の厚みのこと。数字が小さい(例:55や45)ほどタイヤが薄くなり、見た目が良くコーナリング性能が上がりますが、乗り心地は硬くなる傾向があります。
競合ミニバンと比較した硬さの違い
ライバル車である日産セレナやホンダステップワゴンと比較すると、新型ヴォクシーのキャラクターがより明確になります。セレナは伝統的にサスペンションが柔らかく、街乗りでのソフトな当たりを重視しています。ステップワゴンはホンダらしいしなやかさがあり、全席でバランスの取れた乗り心地を実現しています。
対してヴォクシーは、明らかに「スポーティ寄り」の味付けです。ミニバンでありながら、カーブを曲がる際や高速道路でのレーンチェンジでも車体がグラつかず、ピシッと安定して走ることを目指しています。この「しっかり感」を出すための引き締められた足回りが、比較した際に「硬い」と表現される要因となっています。
進化した静粛性と会話のしやすさ
「乗り心地」には振動だけでなく「音」も含まれますが、この点において新型ヴォクシーは劇的な進化を遂げています。高剛性ボディと遮音材の最適配置により、エンジン音や風切り音はかなり抑えられています。
しかし、皮肉なことに「静かになりすぎた」ことで、タイヤが路面を転がる音(ロードノイズ)や、段差を越えた時の「タンッ」という音が目立ってしまうという現象が起きています。以前ならエンジン音にかき消されていたような小さな音が耳に届くようになったため、「足回りの音がうるさい」と感じてしまうケースもあるようです。それでも、2列目や3列目との会話のしやすさは格段に向上しており、家族のコミュニケーションにはプラスに働いています。
新型ヴォクシーの乗り心地が悪いとされる構造的背景
では、なぜトヨタはあえてこのような「硬め」のセッティングを選んだのでしょうか?ここでは、エンジニアリングの視点からその理由を解説します。

TNGAプラットフォームによるボディ剛性
新型ヴォクシーの最大の特徴は、最新のプラットフォーム(車台)である「TNGA(GA-Cプラットフォーム)」を採用したことです。これにより、ボディの剛性(頑丈さ)が飛躍的に向上しました。
イメージしてください。段ボール箱(剛性が低い車)と、鉄の金庫(剛性が高い車)を叩いた時の違いを。段ボールは叩くと全体がボヨンと歪んで衝撃を逃がしますが、金庫は歪まずに「コンッ」と衝撃を跳ね返します。高剛性ボディは後者に近く、サスペンション以外の部分で衝撃を吸収して「ごまかす」ことをしなくなりました。その分、サスペンションが正確に仕事をする必要があるのですが、ボディがしっかりしすぎているがゆえに、入力がダイレクトに伝わりやすくなっている側面があります。
ここがポイント!
「硬い」と感じるのは、ボディが頑丈になった証拠でもあります。長年の使用でもボディがヘタりにくく、安全性が高いというメリットの裏返しなのです。
操縦安定性とトレードオフの関係
ミニバン特有の悩みである「ふらつき」を抑えるため、開発陣は操縦安定性を最優先しました。背の高いミニバンは、どうしてもカーブや横風でフラフラとしがちです。この「揺れ」こそが、実は子供の車酔いの最大の原因(動揺病)となります。
新型ヴォクシーは、足回りを引き締めることで、この不快な「揺れ返し」を徹底的に排除しました。「突き上げ(縦揺れ)」は多少増えましたが、「横揺れ(ロール)」は激減しています。酔いやすいお子さんにとっては、実は「フワフワ揺れ続ける車」よりも、「コツンと揺れてすぐに収まる車」の方が、三半規管へのダメージが少ない場合が多いのです。
後部座席のサスペンション形式の特徴
リアサスペンションには「トーションビーム式」という構造が採用されています。これは左右の車輪が一本の棒(ビーム)で繋がっているシンプルな構造です。上位クラスの車に使われる「ダブルウィッシュボーン式(左右独立)」に比べると、片方のタイヤが段差に乗った際、もう片方のタイヤにも振動が伝わりやすいという特性があります。
コストダウンとスペース効率(床を低くして室内を広くする)のために採用されていますが、トヨタはこのトーションビームの熟成に力を入れており、以前のものとは別次元の性能を持っています。とはいえ、構造上どうしても左右の揺すられ感が出やすい場面があるのは事実です。
高速道路では安定する足回りの特性
街中では「硬い」と感じた足回りも、速度域が上がる高速道路では「極上の安定感」へと変わります。時速80km〜100kmでの巡航時、新型ヴォクシーは驚くほどビシッと走ります。
サスペンションがしっかりと車体を支えてくれるため、継ぎ目を越えても一発で振動が収束します。ドライバーは無意識の修正舵(ハンドルを微調整すること)が減り、長距離運転でも疲れにくくなります。この「高速道路での安心感」こそが、今回のセッティングの最大の狙いと言えるでしょう。帰省や旅行で高速道路を頻繁に使うファミリーにとっては、街乗りの多少の硬さを補って余りあるメリットがあります。
乗り心地が悪いと感じさせない新型ヴォクシーの対策
構造上の特性は理解できても、やはり「子供が酔わないか心配」「少しでも快適にしたい」というのが親心ですよね。ここからは、納車後すぐにできる対策や、購入前の工夫についてご紹介します。

子供の車酔いを防ぐ座席選びと工夫
最も効果的なのは、座る場所の工夫です。車酔いしやすいお子さんは、可能な限り「2列目シート」に座らせてあげてください。さらに言えば、視界が開けていることが重要です。
新型ヴォクシーの3列目シートは、タイヤの真上に位置するため振動を拾いやすく、視界も狭いため最も酔いやすい特等席です。3列目は荷物置きや緊急用と割り切り、普段は2列目を特等席にしましょう。また、2列目のオットマン(足置き)を使用する際は要注意です。足を上げると踏ん張りが効かず、体の揺れが増幅されて酔いやすくなることがあります。山道などではオットマンを下げ、しっかりと床に足を着けるようにアドバイスしてあげてください。
タイヤの空気圧調整とインチダウン
納車後すぐにできる「0円チューニング」が、空気圧の調整です。ディーラーから納車された直後は、保管時の変形を防ぐために空気圧が高め(規定値より高め)に入っていることがよくあります。これをガソリンスタンドなどで「指定空気圧(ドア付近のシールに記載)」ちょうど、もしくはほんの少し低めに調整するだけで、当たりがマイルドになることがあります。
また、これから購入する方や、タイヤ交換の時期が来ている方は、思い切って「インチダウン」を検討するのも一つの手です。18インチから17インチ、あるいは16インチに変更し、「レグノ(ブリヂストン)」などの静粛性と乗り心地に特化したプレミアムタイヤを履かせることで、劇的に乗り心地が改善します。
注意点
空気圧を下げすぎると燃費が悪化したり、タイヤの偏摩耗(片減り)の原因になります。必ず指定空気圧の範囲内(またはマイナス10%程度まで)で調整し、定期的にチェックするようにしましょう。
3列目シートの快適性を上げるグッズ
どうしても3列目を使わなければならない場合は、クッションを活用しましょう。市販の低反発クッションや、ネックピロー(首枕)を使うことで、路面からの突き上げや頭の揺れを軽減できます。
特にネックピローは、カーブでの頭のグラつき(ヘッドトス)を抑えてくれるため、車酔い対策として非常に有効です。100円ショップのものでも効果はあるので、ダッシュボードに常備しておくと安心です。
家族で確認すべき試乗のポイント
もしこれから購入を検討されているなら、試乗は「パパだけ」で行かず、必ず「よく乗る家族全員」で行ってください。
- いつも通るスーパーまでの道や、少し荒れたアスファルトを走らせてもらう。
- 子供を2列目、ママを3列目(あるいは逆)に乗せて感想を聞く。
- S-Z(18インチ)とS-G(16/17インチ)の両方を乗り比べる。
試乗車がきれいな舗装路だけを走るコースだと、この「硬さ」には気づきにくいものです。営業担当者にお願いして、普段の生活圏に近い路面状況の道を走らせてもらうことが、納車後の「こんなはずじゃなかった」を防ぐ唯一の方法です。
正確なスペックや最新の価格情報については、公式サイトで確認することをお忘れなく。



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